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AtCoder Regular Contest 171 B,C,D問題メモ
B - Chmax
問題
- (1,2,...,N) の順列 P に対して、以下を F(P) と定義する
- 数列 B=(1,2,...,N) で初期化する
- Bi のうち、Bi<PBi を満たす i のうち最小のものを j とし、Bj←PBj に置き換える
- 置換ができなくなるまで繰り返した時の B を F(P) とする
- 長さ N の数列 A=(A1,...,AN) が与えられるので、F(P)=A となるような P の個数を求めよ
- 1≤N≤2×105
- 1≤Ai≤N
例
文章としては複雑だけど、要は B の各要素に対して b→max(b,Pb) という置換を繰り返していけばよい。
i 1 2 3 4 P 2 4 3 1 に対するF(P)の求める手順 B 1 2 3 4 ... B[1]=1 < P[B[1]]=2 なので、B[1]←2に置換 B 2 2 3 4 ... B[1]=2 < P[B[1]]=4 なので、B[1]←4に置換 B 4 2 3 4 ... B[2]=2 < P[B[2]]=4 なので、B[2]←4に置換 B 4 4 3 4 ... もう置き換えられるものはないので、終了
解法
まず、B は必ず大きい値に置き換えられるので、 初期状態 B=(1,2,...,N) のうち、Ai<Bi となるものがあったら無理。(0通り)
そうでない場合、A にはいくつかの同じ値が含まれている。それ毎にグループ化する。
i 1 2 3 4 5 6 7 8 A 6 6 8 4 5 6 8 8 6 6 6 8 8 8 4 5
置換配列 P は順列なので、異なる i から同じ数字 Pi に置換できない。
例えば上記では、1→6 と 2→6 という“直接の”置換を両立するような P は存在しない。
置換の法則から、値の位置 i によらず、ある時点の Bi と Bj が同じ値ならその後同じ変化をし、最終的に同じ値に行き着く、という点は重要。 また、置換は値が大きくなる方向にのみ行われる。
よって、必ず 1→2→6 というように、小さい方から同じ値になるindexを辿って置換されていく必要がある。
すると、P に求められる条件が決まってくる。
グループ6に着目して、あり得るPとして決まった箇所 i 1 2 3 4 5 6 7 8 P 2 6 ^ 6以下の値
グループの中で最大の位置は、置き換えられてはいけない。
例えば、上記で P6=7 だったりすると、P1,P2 も7まで置換が進んでいないとおかしいことになる。
よって、i≥Pi という制約がかかる。
同じ理由から、各グループの最大の位置 i について i=Ai でない場合、答えは0通りとなる。
以下、A はそれを満たすとする。
グループ6と同様に、他のグループについての制約を全て適用すると、以下のようになる。
i 1 2 3 4 5 6 7 8 P 2 6 7 ^ ^ ^ 8 ^ 4 5 6 8 ←○以下の値しか入れられない、という制約 まだPに使われていない値: 1,3,4,5
まだPに使われていない値は、各グループで一番左の i となる。
各グループの中で最大の位置 I={4,5,6,8} に、使われていない値 R={1,3,4,5} を、 i≥Pi となるように埋める方法の個数が、答えとなる。
R の大きい方から埋められる箇所の個数を求めていけばよい。
r=5 置けるIの箇所は3箇所 → 3 r=4 置けるIの箇所は4箇所だが、1箇所は既に埋まっている → 3 r=3 置けるIの箇所は4箇所だが、2箇所は既に埋まっている → 2 r=1 置けるIの箇所は4箇所だが、3箇所は既に埋まっている → 1 3*3*2*1 = 18 通り
O(N) や O(NlogN) で解ける。
C - Swap on Tree
問題
- N 頂点の木があり、最初、頂点 i にコマ i が置かれている
- 以下の操作を0回以上、好きな回数おこなえる
- 辺を1つ選び、両端に置かれているコマを入れ替える
- その後、選んだ辺を削除する
- 操作後の頂点 1,2,...,N に置かれたコマを A=(a1,...,aN) としたとき、A としてあり得るものの個数を mod998244353 で求めよ
- 1≤N≤2×105
解法
操作によって木は分断され、その後2つの連結成分内のコマは入れ替わることはない。
よって、ある辺を使う場合と使わない場合では、別の A となる。
①--②--③--④--⑤--⑥ ③-④の辺を選ぶ場合 ①②③頂点にあるコマの集合は、「①②③から2個と、④⑤⑥から1個」 ④⑤⑥頂点にあるコマの集合は、「④⑤⑥から2個と、①②③から1個」 ③-④の辺を選ばない場合 ①②③頂点にあるコマの集合は、「①②③」 ④⑤⑥頂点にあるコマの集合は、「④⑤⑥」
また、ある頂点 v から出る辺について、異なる順で選んだ操作列で A が同じになることはない。
(省略するが本来は、以上で A が異なる条件は全てであるという証明も必要。公式Editorial参照。帰納法でできるみたい)
頂点 v について、「v から出る辺のうち、どの辺がどの順で選ばれるか」のパターンを P(v) とする。
矛盾しないように定めることができる全頂点のパターンの組 (P(1),P(2),...,P(N)) の個数が、求めるものとなる。
(※矛盾しない=全ての辺 (u,v) について、P(u) と P(v) で辺 (u,v) を選ぶ/選ばないが一致している)
根を適当に決めて、以下のDPをする。
- DP[v,k]= 頂点 v 以下の部分木に含まれる全頂点についての矛盾しないパターンの組 (P(v),P(w),P(x),P(y),...) の個数
- ただし v の親への辺については未考慮でよい
- 親で v−親 間の辺を考慮する時に必要なため、v の子頂点への辺を何個選ぶか(k)で場合分け
(v) / | \ (w) (x) (y) : : :
DP[v] を計算するため、以下のDPをする。
- DP2[i,k]=v の i 番目の子まで考慮して、そのうち k 個を選んだ状態の暫定の DP[v,k]
k:0 1 2 3 DP2[0] = [1, 0, 0, 0] と初期化する。kはvの子の数まで用意する。 子頂点を1つずつ採用/不採用を決めていく。 1つめの子の DP[w] = [5, 9, 3] だとして、 辺 v-w を選ぶ場合の係数: DP[w,k] で子を k 個選んでいる中の、どこに v-w 辺を挿入するか、という場合分けが増える。 k に対して (k+1) 通りなので、 t = Σ_k( DP[w,k] * (k+1) ) = 5*1 + 9*2 + 3*3 = 32 辺 v-w を選ばない場合の係数: v-w 辺を選ばない場合には、k での場合分けは不要。単純に w 以下の決め方となる。 s = sum(DP[w]) = 17 DP2[0] から DP[1] の遷移は、↓選ばない場合 s 倍、↘選ぶ場合 t 倍となる。 DP2[0] = [1, 0, 0, 0] ↓ DP2[1] = [17, 32, 0, 0]
他の子についても同様に遷移していき、最終的に DP2[vの子の数] が得られる。
ここに、各 k につき子の選び順 k! をかけたものが、DP[v] となる。
全体を O(N2) で計算できる。
二乗の木DPは、各頂点に付き「部分木の頂点数」分の配列を持ってマージしていっても O(N2) で収まるという理論だが、 この問題では、各頂点に付き「子の頂点数」分の配列しか不要だし、マージも子ごとに独立に計算できるので、 ランダムなケースでの平均計算量はより少なく済む。
1つの根が N−1 個の子を持つようなヒトデグラフなど、特殊な場合の最悪計算量として O(N2) かかる感じ。
D - Rolling Hash
問題
- 非負整数列 X=(x1,...,xn) に対して、以下を hash(X) とする
- hash(X)=(x1Bn−1+x2Bn−2+...+xnB0)modP
- つまり、B を基数、割ってあまりを取る数を P としたローリングハッシュ
- M 個の区間 (Li,Ri) が与えられる
- 次の条件を満たす、長さ N の非負整数列 A=(A1,...,AN) があるか判定せよ
- 全ての区間について、hash((AL,AL+1,...,AR))≠0 である
- 1≤Nale16
- 1≤B<P≤109
- P は素数
解法
以下、添字が合わないのが気持ち悪いので、A の添字を0始まりとし、 ローリングハッシュも逆に(先頭が下の位になるように)計算することにする。
- hash(A)=(A0B0+A1B1+...+An−1Bn−1)modP
クエリ L,R も、元の位置から、逆転させたこの並びの位置に対応させれば、元の問題と変わらない。
先頭からこれの累積和を取ったものを C とすると、
C[-1] = 0 (便宜的にC[-1]を0とする) C0 = A0B^0 C1 = A0B^0 + A1B^1 C2 = A0B^0 + A1B^1 + A2B^2 : : C[N-1]= A0B^0 + A1B^1 + A2B^2 + ... + A[N-1]B^(N-1)
区間 (L,R) を抜き出した文字列のハッシュは、C を使って表せる。
- hash(AL~AR)=CR−CL−1BL
P が素数で 1BL=B−L≢0modP なので、modで考えても上の式がゼロ除算で計算できなくなることはない。
よって、これが0になる時というのは、CR≡CL−1modP のときに限られる。
つまり、C[−1] も合わせて全部で N+1 個の頂点があって、 「こことここは同じになってはいけない」という条件が M 個与えられる、と考えられる。
これは、グラフの頂点彩色の問題に言い換えられる。
A にはどんな数でも置けるので、上手く調整すれば C の各項は 0≤Ci≤P−1 の P 個の値を好きに設定できる。
(言い換えると、各要素が 0≤Ci≤P−1 である任意の C に対して、対応する A が存在する)
ここで、もしグラフを塗り分けるのに P+1 以上の色が必要となった場合、どうしてもどれかは被ってしまい、アウトとなる。
逆に P 色以下なら、可能となる。
頂点彩色数は、bitDPで O(N2N) や O(3N) で計算できる。
P の制約はやたらでかいくせにほとんどの場合Yesで、求めるのが難しいのは P≤13 の時のみという、なかなか癖のある問題。