−目次
第四回日本最強プログラマー学生選手権-予選-(AtCoder Beginner Contest 313)E,F問題メモ
第四回日本最強プログラマー学生選手権-予選-(AtCoder Beginner Contest 313)
ABCらしからぬ配点
100-300-400-550-600-625-625-650
E - Duplicate
問題
- '1'~'9'からなる文字列 S が与えられる
- 次の操作を繰り返す
- T を空文字列で初期化する
- i=1,2,...,|S|−1 の順に、T の末尾に「Si を Si+1 回繰り返した文字列」を追加する
- T を新たな S とする
- S の長さが1になるまでの操作回数を、mod998244353 で求めよ
- ただし永遠に終わらない場合は-1を出力せよ
- 2≤|S|≤106
例
S = 313 1回目 (3を1回繰り返した文字列)+(1を3回繰り返した文字列)=3111 2回目 (3x1)+(1x1)+(1x1)=311 3回目 (3x1)+(1x1)=31 4回目 (3x1)=3
解法
変な法則なのでひとまず実験する。すると、適当な S から始めるとほぼ永遠に終わらなくなる。
サンプルでは'1'はいっぱい増えても大丈夫そうなので、それ以外の小さい数で試すと、
22 → 22 → 22 → 22 → ... 23 → 222 → 2222 → 222222 → ... 32 → 33 → 333 → 333333 → ... 1212 → 11211 → 11121 → 11112 → 11111 → 1111 → 111 → 11 → 1 2121 → 2112 → 2111 → 211 → 21 → 2
1以外の数が2個続く箇所があるとアウト。(前後に何かしらくっついていたとしても、該当部分の変化は変わらない)
それ以外の場合はいけそう。
改めて、1以外が連続しない数で試してみると、以下が分かる。
- 末尾の1の連続は、1ずつ短くなる
- 末尾に1以外の数 c が来ると、消える
- その後、次に来る末尾の1の連続は、「始めからあった分」+「これまでの操作回数 ×(c−1)」
S = 113111115111 113111115111 11113111111111511 1111113111111111111151 111111113111111111111111115 11111111113111111111111111111111 111111111111311111111111111111111 1111111111111131111111111111111111 11111111111111113111111111111111111 111111111111111111311111111111111111 (中略) 1111111111111111111111111111111111111111111111111131 11111111111111111111111111111111111111111111111111113 111111111111111111111111111111111111111111111111111111 11111111111111111111111111111111111111111111111111111 1111111111111111111111111111111111111111111111111111 (中略) 111 11 1
なので、末尾から、1の連続はまとめてシミュレートすると解ける。
F - Flip Machines
問題
- N 枚のカードがあり、表は Ai、裏は Bi の数字が書かれている
- 最初、全てのカードは表が上を向いている
- M 台のマシンがあり、j 台目のマシンは起動すると以下の働きをする
- 12 の確率でカード Xj を、残りの 12 の確率でカード Yj を裏返す
- ただし、Xj=Yj である場合もある
- 今から、以下の操作を順に行う
- 起動するマシンの集合 S を決める
- S に含まれるマシンを番号が小さい順に1回ずつ起動する
- うまく S を選んだとき、最終的な「上を向いている面に書かれた数字の合計」の期待値の最大値を求めよ
- 1≤N≤40
- 1≤M≤105
解法
Xj=Yj か Xj≠Yj かで、マシンを区別して考える。
Xj=Yj のマシンでは、カードを確実に裏返すことができる。
カード i を Xj≠Yj のマシンで裏返す候補にしたとき、期待値は平均値 Ai+Bi2 となる。
その後、同様のことを何回行おうと、期待値は Ai+Bi2 のままである。
その前後で Xj=Yj で裏返していても同様となる。
↗:裏返された ↘or→:裏返されなかった 1回目 2回目 Ai ↗ Bi→Bi ↗ Ai Bi ↘ ↗ Ai→Ai ↑何回分岐しようと、全ての確率は等しく、またAiとBiが同数現れる
よって、M の制約は大きいが、同じペアのマシンを選ぶ必要は無いし、その順番も関係ないことが分かる。
問題の主旨は、各カードに対し、以下のいずれかを割り当てると言い換えられる。
Xj=Yj のマシンで裏返すことを「確実に裏返す」、Xj≠Yj のマシンの対象とすることを「確率で裏返す」と表現する。
- ①1度も裏返す候補にしない → 期待値 Ai
- ②1度確実に裏返し、確率で裏返す候補にはしない → 期待値 Bi
- ③1度でも、確率で裏返す候補にする → 期待値 Ai+Bi2
各カードは、マシンによって以下のように分類できる。
- (A)裏返す候補にできるマシンが無く、初期から変えることができない
- 裏返す候補にできるマシンがある
- (B)Ai≥Bi である(初期から変えない方が得)
- Ai<Bi である
- (C)確実に裏返すことができる
- 確実には裏返すことができない
- (D) 確実には裏返せない同士で、確率で裏返す候補にできるマシンがある
- (E) (B)または(C)とペアにすれば確率で裏返す候補にできるマシンがある
- (A)は、どう足掻いても①
- (B)(C)は、①か②で確実に高い面を選べるが、(E)のために③にすることもできる
- (D)は、③を選んだ方が得。特に犠牲にするものもない
- (E)は、①で低い方を仕方なく取るか、またはペアとなる(B)(C)を③にすることで、自身も③にできる
(A)と(D)の最適解はそれぞれ決定し、残る (B)(C) と (E) をどうするかという問題になる。
(B)(C)に含まれるカードの集合を H、(E)に含まれるのを L とする。
H のとある1枚の犠牲(③にする)で、複数の L も③にして期待値を上げることができうるが、その組み合わせはどうすれば最適か?
それぞれに含まれるカードの数によって、2通りの解法がある。
N≤40 なので、小さい方の集合サイズは多くとも 20 であり、計算量 220 のアルゴリズムが間に合う。
|H|≤|L| の場合
犠牲にする H の部分集合を決めると、裏返す候補にできる L の部分集合も決まる。
H の部分集合を全探索して、最大値を取ればよい。
|H|>|L| の場合
bitDPする。
- DP[i][S]=i 個目の H までを犠牲にするか否か決定し、裏返す候補にできる L の部分集合が S である場合の、H の方のカードの期待値の合計の最大値
最終的なDPの各 S に、S から計算できる L 側の期待値も加算し、その中の最大値が答え。
いずれも、O(N2N/2) の計算量で解ける。