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AtCoder Regular Contest 160 A,C,D問題メモ
A - Reverse and Count
問題
- (1,2,…,N) の順列 A が与えられる
- A の区間 [L,R] の要素を反転させた順列を f(L,R) とする
- (L,R) を 1≤L≤R≤N から選ぶ方法は N(N+1)/2 通りある
- すべての (L,R) に対する順列 f(L,R) を列挙し、辞書順に並べ替えたとき、K番目の順列を求めよ
- 1≤N≤7000
解法
indexを 0≤L≤R≤N−1 になおして考える。
L を L=0 から順番に試す。
辞書順なので兎にも角にも先頭に“1”を持ってくるのが一番小さくて、 その方法は(最初から A0 が“1”だった場合を除き)L=0、R=(Ai=1であるようなi) とする1通りである。
4 3 1 6 2 5 L R [1 3 4]6 2 5
また、“2”にするのも(最初から A0 が“2”だった場合を除き)1通りで、これが2番目に小さい順列となる。
4 3 1 6 2 5 L R [2 6 1 3 4]5
同様に考えると、先頭が A0 以外になる順列はそれぞれ1通りしか作れず、順位が確定する。
4 3 1 6 2 5 → f(L,R)は21通り 辞書順 1 (先頭が1) 確定 2 (先頭が2) 確定 3 (先頭が3) 確定 4 (先頭が4) 5 (先頭が4) : 19 (先頭が4) 20 (先頭が5) 確定 21 (先頭が6) 確定
先頭が“4”になるのは、L≥1 か、または L=R=0 であり実質 A から変わらない順列のいずれかとなる。
ともかく、順位 1~3, 20~21 が確定し、4~19 が未確定となった。
これを L=1,2,3,... で再帰的におこなえば、徐々に未確定順位が絞られていく。
- L=1 の時、A1=3
- i=1 より右にある Ai で、3より小さいのは2個、大きいのは2個
- → 未確定順位 4~19 のうち、先頭2個 4~5 と、末尾2個 18~19 が確定
- → 残る未確定順位は 6~17 となり、L=2 に進む
処理の途中で K 番目が確定すればよし、確定しなければ次に進むことを繰り返す。
L=N−1 まで処理すると、最終的に未確定順位が N 個分残る。
これは L=R とした時のものであり、K が未確定順位内にある場合は A のままが答えとなる。
C - Power Up
問題
- 正整数の N 要素の多重集合 A={A1,...,AN} が与えられる
- 以下の操作を0回以上、好きなだけおこなえる
- A に2個以上含まれる要素を選ぶ(x とする)
- A から x を2個削除し、x+1 を1個追加する
- 操作後の A としてあり得る多重集合の種類数を 998244353 で割ったあまりで求めよ
- 1≤N≤2×105
- 1≤Ai≤2×105
解法
DP。割と素直な考え方で解けるが、計算量をちゃんと評価する部分に若干の難しさがある。
(とはいえ、「何となく大丈夫そう」で通ってしまうことも多いけど)
x 2個が x+1 1個になることを、「x+1 に1個繰り上がる」と表現することにする。
以下のDPで解ける。
- DP[i][j]=i に j 個繰り上がる、i−1 以下の要素だけに操作を行った場合の多重集合の種類数
例えば初期状態で“1”が7個あったら、0~3 個まで“2”に繰り上げることができるので、
0 1 2 3 DP[2] = [1, 1, 1, 1]
となる。次、加えて“2”が例えば5個あったら、DP[2] の j=0~3 につき、DP[3] の 0~⌊j+52⌋ に遷移できる。
Aの初期状態に"2"が5個: DP[2][0] → DP[3][0~2] のそれぞれに加算 DP[2][1] → DP[3][0~3] のそれぞれに加算 DP[2][2] → DP[3][0~3] のそれぞれに加算 DP[2][3] → DP[3][0~4] のそれぞれに加算 結果 0 1 2 3 4 DP[3] = [4, 4, 4, 3, 1]
加算部分は累積和で高速化できる。
これを、i が max を超えた上で、|DP[i]|=1 になるまで繰り返せば、DP[i][0] が答え。
計算量見積もり
- i の範囲は \min(A)~(\max(A)+\log{N})
- \log{N} は、\max(A) 以降もまだしばらく繰り上がれる場合があるから
- j は繰り上がりの個数なので最大 \frac{N}{2}
なので単純に掛け合わせると O(N(A_{\max}+\log{N})) となり、TLEとなる。
しかし、それはあり得ない (i,j) ペアまで含めてしまっているからで、有効なものだけを考えると、状態はぐっと減る。
ざっくり見積もりとして、以下が利用できる。
- A の初期状態に i がない場合が続くと、DP[i] の長さは i が1増えるたびに半分ずつになっていく。
初期状態に i があるとそこで長さが追加されるが、その場合も以下のように考えると、
細かな誤差とかは無視して、 「繰り上がってきた分」と「Aの初期状態にあった追加分」の DP上での行く末を分けて考える (本来は±1の端数のため、明確に分けられるものでもないが、ざっくり) 0 1 2 3 4 5 DP[2] [ o o o o o o ] ↓ ,-----' DP[3] [ o o o|o o o o o o ] ↓ ,-' ,-------' DP[4] [ o o|o o o|o o o ] ~~~ 2から追加された ~~~~~ 3から追加された ~~~~~ 4から追加された
結局、それぞれの区間の長さは約半分ずつになっていくのは変わらない。
ある長さ n の区間が半分ずつになっていって、なくなるまでの長さの合計は約 2n である。
DPに追加される長さの総計が O(N) なので、それが一括であろうと分割されていようと、 全ての区間が無くなるまでの DP[i] の長さの合計は O(N) で収まることになる。
ただ、N=2,A=\{1,200000\} のようなケースなど、繰り上がりが発生しなくても上限までの DP[i][0] は遷移させ続けないといけないので、 計算量は O(N + A_{\max}) となる。
D - Mahjong
問題
- 正整数 N,M,K が与えられる
- 以下の条件を満たす数列 A=(A_1,...,A_N) の個数を 998244353 で割ったあまりで求めよ
- 長さは N、総和は M
- 以下の操作のどちらかを選んで行うことを繰り返すことで、全ての項を 0 にできる
- 任意の項 A_i から K 引く
- 任意の連続する K 項 A_i,...,A_i+K-1 から 1 ずつ引く
- 1 \le K \le N \le 2000
- 1 \le M \le 10^{18}
解法
制約付き重複組み合わせ。計算量を減らす発想も必要。
大まかな方針イメージ
まず、どちらの操作にしても総和が K ずつ少なくなるので、M \mod{K} \equiv 0 以外の場合は不可能。
可能な場合、d=\frac{M}{K} として、d 回、いずれかの操作をすることになる。
操作を「縦」「横」で表現することにする。
縦操作のパターンは、i=1~N のそれぞれに対して、そこに何回操作をおこなえるかで決まる。
横操作のパターンは、i=1~N-K+1 のそれぞれに対して、そこを左端とする横操作を何回おこなえるかで決まる。
横操作の回数を y、縦操作を d-y として、 それぞれの重複組み合わせ {}_NH_{d-y} \times {}_{N-K+1}H_{y} とかで計算できそう。。。
重複除外
しかし、これでは以下の2パターンが同じになり、重複して数えてしまう。
- ある連続する K 項に縦操作をそれぞれ1回ずつおこなえるもの
- 同じ i に横操作を K 回おこなえるもの
重複を防ぐため、「横操作は、1箇所に対して K-1 回までしかおこなえない」とする。 (「縦操作は連続する K 箇所に行えない」としてもよいが、まぁ、横操作の方が考えやすそう)
以下、1箇所の上限が K-1 までと決まっている重複組み合わせを、{}_nH'_{r} で表す。
計算量を削減する
横操作の回数を固定し、その場合の横操作と縦操作のパターン数の積を計算したい。
横操作の回数の上限は、N-K+1 箇所に上限 K-1 を配置するため、(N-K+1)(K-1) となる。
- 横操作の回数を y と固定して、
- \displaystyle \sum_{y=0}^{(N-K+1)(K-1)} {}_{N-K+1}H'_{y} \times {}_{N}H_{d-y}
数え上げる式は立てられたが、これでは計算量が多すぎる。個数上限のある重複組み合わせの求め方と、y に対するループの部分がネック。
個数上限付き重複組み合わせの求め方
個数上限付き重複組み合わせは、例えば以下の2通りの求め方がある。
- DP
- 包除原理
DPなら、{}_nH'_r は以下のサイトのように O((nの範囲) \times (rの範囲)) で出せるが、
今回の場合、n の上限は N+K-1、r は横操作の回数上限 (N-K+1)(K-1) なので、O(N^3) となりDPでは無理そう。
包除原理は、個数上限が一定であるときに特に使いやすくて、 n 個のうちいくつが(明示的に)制約違反しているかを求めることで、1回当たり O(N) で求められる。
- \displaystyle {}_{N-K+1}H'_{y} = \sum_{t=0}^{N-K+1} (-1)^t \times {}_{N-K+1}C_{t} \times {}_{N-K+1}H_{y-tK}
- あらかじめ制約違反すると決める t 個の選び方 × それ以外の配り方
横と縦をまとめる工夫
包除原理で、上限付き重複組み合わせを O(N) で計算できるとはいっても、
- 横方向の回数ごとに場合分けすると、O(N^2) 回繰り返す必要がある
- {}_nC_{r} を求める際、n,r が非常に大きいことがあり、事前計算ができないので、1回ずつ計算する必要がある
- 今回の制約では n-r が O(N) に収まるので、\frac{n(n-1)...(r+1)}{(n-r)!} を O(N) で計算する
ために、全体でまだ O(N^4) かかってしまう。
実は、縦操作と横操作の回数は、場合分けする必要が無い。
回数の和が d と決まっている2つの重複組み合わせなので、
「縦操作 N と横操作 N-K+1、計 2N-K+1 から d 個を重複を許して選ぶ」とすると、まとめて一括で考えられる。
- \displaystyle \sum_{y} {}_{N-K+1}H_{y} \times {}_{N}H_{d-y} = {}_{2N-K+1}H_{d}
この場合でも、「その中で横操作に対応する N-K+1 個だけは、K 個を超えて選べない」という個数上限は、 包除原理で問題なく計算できる。
これで、全体で O(N^2) に収まる。