AtCoder Regular Contest 162 D問題メモ
D - Smallest Vertices
問題
- 「根付き有向木」を以下で定義する
- 頂点 1 を根とし、親から子に向かって有向辺が張られている木
- 「良い頂点」を以下で定義する
- 頂点 v の部分木に含まれる頂点のうち、最小の頂点番号が v 自身である頂点
- 「良い木」を以下で定義する
- N 頂点の根付き有向木であり、各頂点の出次数は d1,...,dN
- 全ての良い木に対する、良い頂点の個数の総和を \mod{99824433} で求めよ
- 1 \le N \le 500
- d_1 \ge 1
- \sum d_i=N-1
解法
ケイリーの公式を活用する。
今回の場合、次数 d_i には親に向かう辺がカウントされていないので、i \neq 1 の d_i にそれぞれ1を足すと、 無向木の次数に相当するものになる。(が、以下の説明ではとりあえず d_i のままで説明する)
まず、良い木の個数は、ケイリーの公式を使って、以下のようになる。
- \displaystyle \frac{(N-2)!}{(d_1-1)!\prod_{i=2}^{N}d_i!}
主客転倒して、各頂点に対して「自身が良い頂点となる良い木の個数」を求め、合計することを考える。
頂点 1 と葉は必ず良い頂点なので、良い木の個数だけ存在する。
それ以外の、i \ge 2, d_i \ge 1 の頂点について考える。
いま、v の部分木に含まれる頂点集合が S と決まっているとする。
S が v 以上の頂点でのみ構成されていれば、v は良い頂点となれる。
木の頂点数と辺数の関係上、\displaystyle \sum_{i \in S}d_i = |S|-1 である必要がある。
S を固定した良い木の個数は、(S からできる木の個数) × (v と、S に含まれない頂点からできる木の個数) で
分割して求めることができる。
後者において、v は葉の扱いとなる。
○ ○ / \ / \ ○ ○ = × ○ ○ / \ | / \ | ○ ⓥ ○ ⓥ ○ ⓥ ○ /\ /\ ○○ ○○ ※図化のため具体的な木の形状を表現したが、 実際は、それぞれの木での次数条件を満たす全ての個数を考える
両者をケイリーの公式で表すと、
- \displaystyle \frac{(|S|-2)!}{(d_v-1)!\prod_{i \in S, i \neq v}d_i!} \times \frac{(N-|S|+1-2)!}{(d_1-1)!\prod_{i \notin S,i \neq 1}d_i!}
これを整理すると、分母が綺麗な形になる。
- \displaystyle \frac{(|S|-2)!(N-|S|-1)!d_1d_v}{\prod_i d_i}
つまり、S の具体的な構成要素に依らず、 v が良い頂点になれる良い木の個数は S のサイズが分かれば計算できることになる。
ただし、辺数の制約(\displaystyle \sum_{i \in S}d_i = |S|-1)は満たす必要があるため、 この2つを状態に持ったDPでパターン数を数える。
- DP[i,j,k]= 大きい方から i 個の頂点を見て、S に j 個採用し、その次数 d の和が k であるパターン数
遷移の過程で、以下のような S について、先ほどの式で1パターン当たりの木の個数を求め、答えに加算していけばよい。
- 頂点 i を使っている
- j=|S| としたとき、k=j-1 である
O(N^3) で求められる。