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AtCoder Regular Contest 116 A,B,C,D,E,F問題メモ
Dのイージーミスの原因究明までにWA出しまくったのがもったいなかった。。。
A - Odd vs Even
問題
- 正整数 N の約数には、偶数が多いか奇数が多いか同じか、判定せよ
- テストケースは T 個与えられる
- 1≤T≤2×105
- 1≤N≤1018
解法
素因数分解したときの2の個数で判定できる。
素因数のうち、2以外(奇数だけ)を組み合わせて作られる約数は全て奇数。
そこに2が1個あったら、それぞれにかけることで、同数の偶数の約数が作られる。
N = 3^2 * 5 → 1 3 5 9 15 45 N = 2 * 3^2 * 5 → 2 6 10 18 30 90 (上記に加えて) N = 2^2 * 3^2 * 5 → 4 12 20 36 60 180 (上記にさらに加えて)
2が2個あったら、奇数の2倍の偶数の約数が作られる。この時点で奇数は逆転不可能。
よって、N が奇数なら'Odd'、2の倍数で4の倍数でないなら'Same'、4の倍数なら'Even'となる。
B - Products of Min-Max
問題
- 長さ N の整数列 A が与えられる
- A の空でない部分列 B は 2N−1 個あるが、全てについて max を計算し、その総和を \mod{998244353} で求めよ
- 1 \le N \le 2 \times 10^5
解法
この問題における部分列は、連続していなくてもいい点に注意。そのため、最初に A をソートして考えて問題ない。
最小値,最大値を固定し、これらが \min(B),\max(B) になるような B が何個あるか考える。
max= 2 3 5 6 8 9 min=2 1 1 2 4 8 16 min=3 1 1 2 4 8 min=5 1 1 2 4 min=6 1 1 2 min=8 1 1 min=9 1
例えば \min=2,\max=6 の時、間の 3,5 が入るか入らないかで 2^2=4 通りの B があり、答えに寄与するのは 2 \times 6 \times 4=48 となる。
最小値を中心にまとめると、\min=2 のとき、2 \cdot 1 + 3 \cdot 1 + 5 \cdot 2 + ... + 9 \cdot 16 だけ寄与する。
表を見ると、minが1つ大きい値になるたびに、各値とのペアの数は概ね \dfrac{1}{2} ずつになっていく。
なので、最初に \min=2 の時の係数 C を上記の通り求めると、 次の \min=3 の時の係数は、C'=\dfrac{C - 2 + 3}{2} で求められる。
さらに次の \min=5 の時の係数は C''=\dfrac{C'-3+5}{2} ……と、逐次的に O(1) で求められる。
C - Multiple Sequences
問題
- 正整数 N,M が与えられる
- 長さ N の整数列 A で、以下の条件をともに満たすものの数を \mod{998244353} で求めよ
- 条件
- 1 \le A_i \le M
- A_{i+1} は A_i の倍数
- 1 \le N,M \le 2 \times 10^5
解法
A_N の値を 1~M まで全探索する。
A_N=k と固定した時、k の素因数分解がたとえば 360=2^3 \ 3^2 \ 5 とかだったとすると、
- A_i と比べて A_{i+1} が2倍になる箇所が、重複を許して3箇所
- A_i と比べて A_{i+1} が3倍になる箇所が、重複を許して2箇所
- A_i と比べて A_{i+1} が5倍になる箇所が、重複を許して1箇所
となるので、そのような数列の個数は重複組み合わせを使って {}_NH_3 \times {}_NH_2 \times {}_NH_1 と数えられる。
便宜的に A_0=1 とすると、○倍とする箇所の候補は N 箇所というのがわかる。
A0 A1 A2 A3 ... AN 1 ? ? ? 360 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ←N箇所
計算量は、素数を事前計算しておけば
- M 個のそれぞれにつき
- O(\log{M}) で素因数分解
- O(素因数の個数) 回、重複組み合わせを計算して掛け合わせる
で計算できる。素因数の個数は最大でもそんなに大きくならないし、ほとんどは1~3個程度なのでまぁ定数と見てよく(乱暴)、O(M \log{M}) 程度となる。
D - I Wanna Win The Game
問題
- 正整数 N,M が与えられる
- 長さ N の整数列 A で、以下の条件を全て満たすものの数を \mod{998244353} で答えよ
- 条件
- 全要素は非負
- 全要素の和は M
- 全要素のXORは 0
- 1 \le N,M \le 5000
解法
なんかC問題と似てる。解き方もまぁ似てるような気がする。
まず例外処理として、N=1 の時、XORを0にできず不可能なので除く。
総XOR=0の制約から、各bitについて、そこを'1'とする項は偶数個とならなければいけない。
なので、上位bitから、そのbitを'1'にする項の個数を「偶数」「個数が N を超えない」「より上位のbitの結果と併せて、総和が M を超えない」範囲で遷移するDPを作る。
- DP[i][j]= 上位から i 番目のbitまでで立てるbitを決め終わって、総和を M とするための残りが j である数列の個数
初期値は DP[0][M]=1 となる。
N = 5 M = 20 = 10100(2) bit DPの内容 10100: 1 初期状態 1000 10100: 1 100: 10 残り10100からbit'1000'を2個立てると残り100, 立て方の場合の数は二項係数で 1 x 5C2通り 100 10100: 1 100: 15 残り10100からbitを4個, 個数 1 x 5C4 を加算 1100: 10 残り10100からbitを2個, 個数 1 x 5C2 10 10100: 1 100: 65 残り 1100からbitを4個, 個数 10 x 5C4 加算 1100: 15 残り10100からbitを4個, 個数 1 x 5C4 加算 10000: 10 残り10100からbitを2個, 個数 1 x 5C2 1000:100 残り 1100からbitを2個, 個数 10 x 5C2 0:150 残り 100からbitを2個, 個数 15 x 5C2
このように、残り j からbit b を k 個立てた時、DP[i][j-bk]+=DP[i-1][j] \times {}_NC_k で遷移できる。
最終的に、DP[Mのbit長][0] が答え。
計算量は、DPにおける i の状態数が O(\log{M})、j の状態数が O(M)、さらに各 DP[i][j] につき何個のbitを立てるかで O(N)。あわせて O(NM\log{M}) となる。
もう少し細かく見ると、j の状態数はdictなどで持つと i が進む毎に1,2,4,8,…と2倍ずつになっていくので、(i,j) の組の状態数がまとめて O(M) となり、全体で O(NM) となる。
E - Spread of Information
問題
- N 頂点の木と見なせる都市と道路がある
- 国王が、時刻 0 に K 個の都市に情報を伝える
- 時刻 t に情報が伝えられた各都市は、時刻 t+1 に、自身と道路で直接つながっている全ての都市に情報を伝える
- 適切に最初の K 個の都市を選んだとき、全ての都市に情報が伝わるのにかかる最小時間を求めよ
- 1 \le K \lt N \le 2 \times 10^5
解法
答えを決め打つ二分探索。
国王から時刻0に情報を伝えられる都市を、初期都市と呼ぶことにする。
時間 m を決め打って、m 以内に全都市に行き渡らせるのが可能かどうかは、木DPをおこなうことで判定できる。
適当に根を1つ決め、根付き木としておく。
- DP[v]= 頂点 v 以下の部分木について、適切に初期都市を決めた時の、以下のいずれか
- 保留中の頂点のうち最も深いものが、頂点 v から見て深さ○○の位置にある(v の深さを1とする)
- 言い換えると、「このカウントが m を超える前に、祖先に初期都市を置く必要がある」
- 既に v 以下に置いた初期都市によって、祖先のうち距離○○まではカバーできる
2つは表裏一体なので、例えば前者を正、後者を負でもっておけばよい。
保留中の頂点とは、「まだ部分木内には自身をカバーできる初期都市が無いが、祖先に初期都市を置けばカバーが間に合う頂点」とする。 基本的に、保留中の頂点をカバーできなくなる前ギリギリで初期都市を置いていくことになる。
わかりやすいように1本道グラフを考えると、葉は DP[v]=1 となり、親をたどる毎に 2,3,4,... と増える。 m になったらその次は初期都市とする。初期都市は DP[v]=-m となる。
m=2 根 ○--●--○--○--○--○--●--○--○ ●:初期都市 DP -1 -2 2 1 0 -1 -2 2 1
複数の子を持つ場合、その統合は少し考える必要がある。
v の子頂点の中で DP の正の最大値 a と負の最小値 b を得る。
a+1 < -b のとき ⓥ:-2 /|\ bの初期都市によって、他の子孫の保留中の頂点はすべてカバーできる -3 2 1 | | DP[v] = b+1 となる ... 1
a = m のとき ⓥ:-3 m=3 /|\ vを初期都市とする必要がある -2 3 1 | | DP[v] = -m となる ... ...
それ以外 ⓥ:3 bの初期都市ではaの保留中の頂点に届かないため、 /|\ aの方の制約を優先する必要がある -2 2 1 | | DP[v] = a+1 となる ... 1
全頂点のDPを埋めたとき、DP[根] が正なら、初期都市をもう1つ置く必要がある。(たとえば根頂点に置けば問題なくカバーできる)
これが m を決めたときの最小ギリギリの初期都市の置き方となり、K を超えないかどうかで判定できる。
1回の判定に O(N)、全体で O(N \log{N}) で求められる。
F - Deque Game
問題
- K 個の数列が与えられる
- AとBの2人でゲームを行う
- ルール
- 交互に、長さが2以上の数列を1つ選び、その先頭または末尾要素を削除する
- 全ての数列の長さが1になったら終了
- Aが先手
- Aは最後に残る K 個の要素の和を最大化、Bは最小化したいと考えている
- 両者最適に行動するとき、最後に残る K 個の要素の和を求めよ
- 1 \le 全数列の長さ合計 \le 2 \times 10^5
- 1 \le A_{i,j} \le 10^9
解法
ゲーム問題。
数列が1個のとき
数列が1個しかなく、長さが短い場合から考える。
ただしAが先手とは限らず、どちらから始める場合も考える。
長さ1のとき
操作の余地がない。その1項が答え。
長さ2のとき
先に操作した方が好きなのを残せる。
長さ3のとき
この辺からちょっとややこしくなって、
Aから手を着ける場合 A手番後 B手番後 1 2 3 → 2 3 → 2 1 3 2 → 3 2 → 2 2 1 3 → 1 3 → 1 Bから手を着ける場合 B手番後 A手番後 1 2 3 → 1 2 → 2 1 3 2 → 1 3 → 3 2 1 3 → 2 1 → 2
このように、先に手を着けた側が一番残したくないもの (Aにとっては最小値、Bにとっては最大値)が中央にある場合のみ、 それが残ってしまう。
その他の場合は、中央値が残る。
長さ4のとき
左端と右端のどちらを取り除いた方がよいかは、3個のときに帰着して両方調べれば確定する。
先手が得する方を選ぶ。
長さ5以上の奇数のとき
先手だった方が、残り3個になったときにも先手となる。
真ん中3つの要素が重要となる。結論から言うと、真ん中の3つから始めたときと結果は同じになる。
v v v ... 9 3 5 7 9 ...
Aが先手の時、ちょっと欲張れば9とかに手が届きそうに見えるが、 BはAと逆方向をとり続けることで真ん中を3,5,7の状態に保ち続けることができ、9にはできない。
またBにとっては、ひょっとしたら3,5,7を中央に保つより、 中央をずらすことで残す値をもっと小さくできるかも知れない。 しかし、その場合はAが阻止できる。
v v v 1 1 ... 1 3 5 7 1 ... 1 1
Bとしては1を残すべく、中央をずらしたいところである。
Aがたとえば左を取り、Bも同じ側を取ると、中央が5,7,1にずれる。
しかし、そしたらAは次からは右しか取らないことで、これ以上、中央がずれるのを阻止できる。
このようにずらして中央が 5 7 ?
となった際にこの3数から残される値は、?の値によらず5以上となる。
もしAが右を取ったら、ずらされた中央 ? 3 5
から残される値は3以上なので、
Aとしては左を取るのが正解となり、このようにAが選ぶ以上、
Bも、最初の真ん中3つから残される値より小さい値を残すのは不可能となる。
AもBも、真ん中3つよりよい値を残したくても相手が阻止でき、その時に残る値は真ん中3つのみの時に残る値と一致する。
真ん中3数の大小関係の並びは複数あるが、調べれば、どのパターンもそうなる。
長さ6以上の偶数のとき
奇数個の場合 O(1) で残る値が特定できるとわかったので、 偶数個の場合、先手は左右のどちらを取れば自分にとって望ましいかを2通りから選べる。
数列が複数個のとき
奇数長の数列は先に手を着けた方が不利。
奇数長の数列しか残っていない状況になると、 その時点での先手(奇数長の数列に手を付ける側)はその状況を覆せず、ずっと不利な状況のまま終わってしまう。
また、どちらがその可哀想な方になるかは、初期で偶数長の数列の個数によって決まっている。
偶数個ならA、奇数個ならBとなる。
偶数長の数列は先に手を着けた方が2通りから望む方を取れるので、率先して1回手をつけるべき。
よって、ゲームの流れは「偶数長の取り合い」→「奇数長の処理」となる。
どの偶数長の数列から手を付ければよいかは、利得の大きい方となる。
つまり、2通りの結果を a,b として \max(a,b)-\min(a,b) を計算する。 AもBもこの利得が大きい方から取っていくことになる。