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Sky株式会社プログラミングコンテスト2023(AtCoder Beginner Contest 329)E,G 問題メモ
E - Stamp
問題
- 長さ $N$ の英大文字からなる文字列 $S$ と、長さ $M$ の英大文字からなる文字列 $T$
- 長さ $N$ の文字列 $X=$
'###…#
' に、以下の操作を好きなだけ繰り返して、$S$ にすることができるか判定せよ- $X$ の連続する長さ $M$ の好きな位置を、$T$ で置き換える
- $1 \le N \le 2 \times 10^5$
- $1 \le M \le 5$
解法
$M$ が小さいので、「$S$ の $i$ 文字目と合わせることが可能な $T$ のindexの集合」を持って、$S$ の左から状態を管理する。
12345 T: ABABC S: A B A B A B C C A B C 1 2 3 4 1 2 3 4 5 1 2 5 1 2 3 4 5
$S$ の $i$ 文字目と合わせられる $T$ のindexの集合を $D_i$ とする。(たとえば $D_3=\{1,3\}, D_4=\{2,4\}$ など)
$D_{i-1}$ がわかっているとき、$D_i$ は、以下を合わせたものとなる。
- 1つ前から継続する
- $D_{i-1}$ に含まれる要素($k$ とする)について、$S_i = T_{k+1}$ なら、$k+1$
- $i-1$ より左を作った後、$i$ にスタンプの左端を合わせて押す
- $S_i=T_1$ なら $1$
- $i$ より右を作った後、$i-1$ にスタンプの右端を合わせて押す
- $M$ が $D_{i-1}$ に含まれる場合のみ、$S_i = T_j$ であるような任意の $j$
で、途中で $D_i$ がなくなったらアウト。
なくならずに最後までいって、$M$ が $D_N$ に含まれていれば成功となる。
G - Delivery on Tree
問題
- $N$ 頂点の根付き二分木があり、根である頂点1に空のカゴがある
- $M$ 個のボールがある。それぞれ頂点 $S_i$ に現在位置し、$T_i$ に届けたい
- カゴにボールを積み下ろしすることで、全てのボールを届けたい頂点に持っていきたい
- 各頂点では以下の3つができる
- カゴを隣接する頂点に移動させる
- $S_i$ でボール $i$ をカゴに積む
- $T_i$ でボール $i$ をカゴから下ろす
- (つまり、$S_i$ でも $T_i$ でもない頂点でボール $i$ を積み下ろしはできない)
- カゴに一度に積めるボールは $K$ 個まで
- 各辺を1往復ずつする軌跡(オイラーツアー)のうち、全てのボールを届けたい頂点に持っていくことが可能な軌跡の個数を $\mod{998244353}$ で求めよ
- $2 \le N \le 10^4$
- $1 \le M \le 2 \times 10^5$
- $1 \le K \le 10^3$
- 各頂点、子は最大2個まで
解法
比較的素直な解法だが、素直にやれば解けるという確信に至るまでの丁寧な考察と、実装力が問われる。
可能不可能の判定
まず、可能不可能を判定する。
- LCA(最小共通祖先)を挟んで両側に $(S_i,T_i)$ があったら、$S_i$ を先に訪れる必要がある。
C こんな(S,T)があったら、Cからは左を先に訪れる必要がある /\ S○ | T
これがボール間で矛盾すると答えは“0”。
矛盾せず、子が2個ある各頂点につき「左/右を先に訪れなければならない」「どちらでもよい」が決まったとする。
この「どちらでもよい」でどうするかが唯一の自由度となるが、 その頂点を訪れたときに既にカゴに積まれていたボールの個数によっては、どちらか/両方が不可能な場合もある。
個数ごとに場合分けが必要そう。(制約も $NK=10^7$ といい感じだし)
各頂点ですべき操作は決まる
ある頂点でカゴにボールを積み下ろしする最適な順番は、無駄なボールを積まないことを意識するとある程度決まる。
仮に、先に訪れる子を左の子とする。
- ①カゴが親から $v$ に着く
- ②親方面に $S_i$ があって、$T_i=v$ のボールがあったら(積んできてるはずなので)下ろす
- ③左の部分木に $T_i$ があって、$S_i=v$ のボールを積む
- ④左の子に行く
- ⑤…(左の子探索中)…
- ⑥左の子から帰ってくる
- ⑦左の部分木に $S_i$ があって、$T_i=v$ のボールを下ろす
- ⑧右の部分木に $T_i$ があって、$S_i=v$ のボールを積む
- ⑨右の子に行く
- ⑩…(右の子探索中)…
- ⑪右の子から帰ってくる
- ⑫右の部分木に $S_i$ があって、$T_i=v$ のボールを下ろす
- ⑬親方面に $T_i$ があって、$S_i=v$ のボールを積む
- ⑭親方面に帰る
この操作と異なる手順でボールを積み下ろししても、悪くなることはあってもよくなることはない。
(※悪くなる=$v$ に来た時点でのカゴのボールの個数が同じ状況で、上記の操作では $K$ 個を超えないが、異なる操作では超えてしまう)
(※よくなる=$v$ に来た時点でのカゴのボールの個数が同じ状況で、上記の操作では $K$ 個を超えてしまうが、異なる操作では超えない)
なので、親・左・右別に、$S_i=v,T_i=v$ となる個数、計6通りを数えておくと、操作を追えそう。
子が1個なら①~⑦⑬⑭、子がない葉頂点なら①②⑬⑭だけでよいが、いずれにしろ最適な操作は決まる。
木DP
- $DP[i,j]=$ 頂点 $i$ に、カゴの中のボール $j$ 個で親から訪れたときに、取れるパターン数
$i,j$ に対し、①~⑭の操作をたどることで遷移を考える。
先ほどの操作の番号を、そのまま積み下ろしするボールの個数として扱うと、
- $DP[v,k]=DP[l,k-②+③] \times DP[r,k-②+③+⑤-⑦+⑧]$ … (A)
となる。ただし、$l,r$ は $v$ の左右の子、⑤は「左に行って帰ってきた際に変動するボールの個数(左の部分木内で積まれた数-下ろされた数)」とする。
⑤や⑩は、$S_i$ に+1、$T_i$ に-1をして、葉から根に向かって累積和を取っていくことで各頂点計算できる。
各操作の途中で $0$ 個を下回ったり、$K$ 個を超えるような $k$ は無効なので、その場合は $DP[v,k]=0$ となる。
②,③,⑤,⑦,⑧,…,⑬ でカゴのボールの個数が変化するごとに逐一個数チェックし、途中一度でも超えるとアウト。
上記の遷移(A)は、子が1個の場合は $DP[l,k-②+③]$ のみとなる。
また、どちらを先に訪れても良い頂点なら、右頂点を先に訪れた場合も同様に計算して足し合わせる。
このように木DPをおこない、最終的に $DP[1,0]$ が答えとなる。$O(NK)$