2次元平面上の凸多角形の共通部分

2つの凸多角形同士の共通部分は、存在すれば必ず1つの凸多角形になる。
(凹多角形だと複数に分かれることがある)

凸多角形を P,QP,Q とし、((xp1,yp1),...,(xpN,ypN))((xp1,yp1),...,(xpN,ypN)) のように反時計回りの点列で与えられるとする。
PP の点の個数を NNQQ の点の個数を MM とする。

共通部分の凸多角形を、同様に点列で求めたい。

アルゴリズム

O(NM)O(NM) アルゴリズム

共通部分の頂点を蓄積する集合 RsetRset を用意する。

  • PP の各点につき、QQ に内包されている(または辺上にある)点を RsetRset に入れる
  • QQ の各点につき、PP に内包されている(または辺上にある)点を RsetRset に入れる
  • PPQQ の各辺ペアにつき、交わるなら交点の座標を求め、RsetRset に入れる
    • 端点で交わる(一方の頂点が他方の辺上にある)場合は含めなくてよい
    • 2辺が同一線上にある場合は含めない

それぞれ O(NM)O(NM) ずつかかる。
これで、RsetRset には共通部分の全頂点が入った。

これをちゃんと順番通りに並べる。
まず重心を求める。
凸多角形の重心は必ず多角形内にあるので、重心からの偏角でソートすれば、順番通りになる。

O(N+M)O(N+M) アルゴリズム

以下、点同士の比較は (x,y)(x,y) 基準でおこなうものとする。(xx 優先、xx が同じなら yy で比較)

凸包を求めるアルゴリズムの1つMonotone Chainのように、上辺と下辺に分けて考える。

PP を最小の頂点 pminpmin から最大の頂点 pmaxpmax まで、 PP の上側を伝う頂点列と下側を使う頂点列に分ける。
ただし pminpminpmaxpmax は両方の最初・最後に重複して入っているとする。

QQ も同じようにし、共通部分も上と下に分けて求めるとすると、それらを構成する頂点は以下のいずれかになる。

  • 共通部分の上の頂点列:
    • PP の上側頂点のうち、その xx 座標において QQ の上辺と下辺の間にある頂点
    • QQ の上側頂点のうち、その xx 座標において PP の上辺と下辺の間にある頂点
    • 辺同士の交点
  • 共通部分の下の頂点列:
    • PP の下側頂点のうち、その xx 座標において QQ の上辺と下辺の間にある頂点
    • QQ の下側頂点のうち、その xx 座標において PP の上辺と下辺の間にある頂点
    • 辺同士の交点

実装上は、たとえば以下で管理する。

  • plo,phi,qlo,qhiplo,phi,qlo,qhi: それぞれ P,QP,Q の下頂点列、上頂点列
  • i,j,k,li,j,k,l: 上に対応して、それぞれどこまで見たかの4つのindex
  • rlo,rhirlo,rhi: 共通部分の下頂点列、上頂点列
  • 4つのそれぞれ次の頂点 ploi+1,phij+1,qlok+1,qhil+1ploi+1,phij+1,qlok+1,qhil+1 のうち、最も小さい頂点を求める
    • 仮に、ploi+1ploi+1 が選ばれたとし、これが共通部分に含まれるかチェックする
      • 以下の yy 座標を求める
        • ploi+1ploi+1xx 座標における、線分 qlokqlok+1qlokqlok+1yy 座標
        • ploi+1ploi+1xx 座標における、線分 qhilqhil+1qhilqhil+1yy 座標
        • ただし線分が垂直な場合、後の方の yy 座標
      • ploi+1ploi+1yy 座標が両者の間(境界含む)なら、ploi+1ploi+1 は共有部分の頂点
    • 含まれる場合、選ばれたのが plo,qloplo,qlo ならrlorlo に追加、phi,qhiphi,qhi なら rhirhi に追加
  • 次の辺の交点を求める
    • 仮に ploiploiploi+1ploi+1 に進めたとする
    • 次の点 ploi+2ploi+2 が存在するなら、以下の2つをチェックする
      • 線分 ploi+1ploi+2ploi+1ploi+2qlokqlok+1qlokqlok+1 の交点
      • 線分 ploi+1ploi+2ploi+1ploi+2qhilqhil+1qhilqhil+1 の交点
    • 交点が存在すれば、以下のように rlo,rhirlo,rhi に追加する
      • lo同士の交点なら、rlorlo に追加
      • hi同士の交点なら、rhirhi に追加
      • それ以外なら、両方に追加(必ず最初または最後の点)
    • この時、線分の交点を計算する順番によって、rlo,rhirlo,rhi に大きい点が先に追加されないように注意する
  • 繰り返す

どちらかのlo,hiがともに pmaxpmax または qmaxqmax に到達すれば終了。

最初は i,j,k,l=1i,j,k,l=1 などとしておくとよい。
一方の頂点が進められたとき、他方がまだ -1 ならindexだけ進めてスキップする。

実装例

同じ点が連続しないようにしている。
面倒だったので、最初に N+MN+M 点をまとめてソートしているので、計算量には loglog がつく。

一応、共通部分の面積を求める以下の問題でVerifyしているが、 面積だと多少の誤差は許されてしまうので、直接的に合っているかは未Verify。

ネタバレ注意

特に小数点誤差によっては間違った結果を返す可能性がある。
とはいえ、与えられる P,QP,Q の座標が整数であれば、小数点が出現するのは交点のみであり、 小数点同士の四則演算などは行わないので x,y105x,y105 くらいは大丈夫、、、なはず。

Python3

programming_algorithm/geometry/convex_intersection.txt · 最終更新: by ikatakos
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