目次
simplekml
simplekmlは、PythonでKMLを作成するパッケージ。
KMLについて
KMLは、地理空間情報を記述するための書式の1つ。要は地図上にマーカー設置したりライン引いたりバルーンで情報表示したりできる。
これを読み取れる主要なアプリに、Google Earthがある。
Google EarthはGoogle MapsのPCアプリ版みたいなもので、衛星写真の地図をぐりぐり動かしたり拡大縮小できる。 KMLを用いると、その上にマーカーを置いたりラインを引いたりできる。
Google Earthは無償で利用できる上、数千件のデータを配置しても描画が高速。かなりの倍率までズームできるため、全体の概観から詳細の確認までできて便利。
(ただし、衛星写真をつなぎ合わせている関係上、使う写真の撮影時期や条件によって悪い箇所では見た目と10m規模の誤差は出るので、あくまで目安にとどめる)
インストール
> pip install simplekml
パッケージ管理ツールにAnacondaを使う場合は、標準レポジトリにないので、conda-forgeなどからインストール。
> conda install -c conda-forge simplekml
とりあえず使ってみる
とりあえず点や線を描いたりスタイルを変えるのは、これを使えば簡単にできる。
それ以上のことは、そもそもKMLでどこまでのことが出来るのか自体をイマイチ知らないんだけど、ドキュメントを見る限りいろんなことが出来る模様。
せっかくプログラム的に書けるので、連続した緯度経度座標を一気にプロットするクラスを作ってみた。
- 何を描画するの
- 連続した緯度経度データ
- どういう風に描画するの
- 個々の点をマーカーで描画
- さらにそれらを順番に繋いだ線を描画
- 各マーカーの横に簡単な説明を添えることも可
- 使い方
- コードの最後に
import simplekml class PlotKml: # スタイルは適当に、simplekmlやKMLのドキュメントを見つつ好みに変更する # マーカーのスタイル1 STYLE_I = simplekml.Style() STYLE_I.iconstyle.icon.href = 'http://maps.google.com/mapfiles/kml/shapes/placemark_circle_highlight.png' STYLE_I.labelstyle.scale = 0.66 STYLE_I.labelstyle.color = 'aaffffff' # マーカーのスタイル2 STYLE_H = simplekml.Style() STYLE_H.iconstyle.icon.href = 'http://maps.google.com/mapfiles/kml/shapes/placemark_circle.png' STYLE_H.labelstyle.scale = 0.66 STYLE_H.labelstyle.color = 'aaffffff' # ラインのスタイル STYLE_LS = simplekml.Style() STYLE_LS.linestyle.width = 3 def __init__(self): self.kml = simplekml.Kml() def new(self): self.kml = simplekml.Kml() def draw_dots(self, lnglats, descriptions, style=None, linestring=True): """ :param lnglats: [[lng, lat], [lng, lat], [], ...] :param descriptions: <name>属性に出力するタグ :param style: simplekml.Style のインスタンスまたはそのリスト :param linestring: 線が不要ならFalse """ # descriptionsは、lnglatsと同じ要素数の文字列のリストで与える。 # 対応する順番の文字列が、自動的に連番prefixを付与され、マーカーの横に添えられる # styleは、Noneなら全てデフォルト # simplekml.Styleの(単独の)インスタンスの場合は全てそのスタイルに # リストの場合はlnglatsと同じ要素数にする。対応する順番のマーカーがそのスタイルになる if descriptions is None: descriptions = [''] * len(lnglats) else: assert len(lnglats) == len(descriptions) if style is None: style = [self.STYLE_I] * len(lnglats) elif type(style) == simplekml.Style: style = [style] * len(lnglats) elif type(style) == list: assert len(lnglats) == len(style) for idx, (lnglat, description) in enumerate(zip(lnglats, descriptions)): pnt = self.kml.newpoint(name=str(idx) + ' ' + description, coords=[lnglat]) pnt.style = style[idx] if linestring: ls = self.kml.newlinestring(name='LineString', coords=lnglats) ls.style = self.STYLE_LS def save(self, path): self.kml.save(path) # --使い方-- pk = PlotKml() pk.draw_dots([[135.26, 34.32], [135.23, 34.29], ...], # lnglats ['2018/01/21', '2018/01/22', ...]) # descriptions pk.save('out.kml') pk.new() # リセット(これをしないと前のが残る。敢えて残すことも可) pk.draw_dots([[-112.35, 42.89], ...], style=PlotKml.STYLE_H) pk.save('out2.kml')
Tips
Styleは使い回す
simplekml.Style
クラスは、Pointのアイコンやサイズ・LineStringやPolygonの太さや色・ラベルの色などを規定するものである。
適用するには、点やラインなどの個々のインスタンスに.style
属性があるので、そこに指定する。
個々のインスタンスは、kml.newpoint(), kml.newlinestring()
などで作成すれば返値で受け取れる。
この時、以下の2通りの方法がある。
- その場で色、太さなどを個別に指定する
- あらかじめ
Style
オブジェクトを定義しておき、それを与える
同じStyleを適用する地物をいくつも量産するのであれば、後者の方がよい。前者だと、地物毎に新しいStyleが定義され、KMLのサイズが肥大化する。
kml = simplekml.Kml() # その場で定義 for _ in range(100): pnt = kml.newpoint(name='test1', coords=[[0, 0]]) pnt.style.iconstyle.icon.href = 'http://icon/img/url.png' # アイコン画像 pnt.style.labelstyle.color = simplekml.Color.blue # ラベル文字色 # => 全ての点でStyleインスタンスが別々になる(出力KMLで、Style定義が100回繰り返される) # 最初に定義してから与える style = simplekml.Style() style.iconstyle.icon.href = 'http://icon/img/url.png' # アイコン画像 style.labelstyle.color = simplekml.Color.blue # ラベル文字色 for _ in range(100): pnt = kml.newpoint(name='test2', coords=[[0, 0]]) pnt.style = style # => Styleインスタンスは1つのみ(出力KMLで、1回のStyle定義を各地物で使い回す)
LineStringにラベルを表示
通常、KMLではLineStringにラベルは表示されないが、<gx:labelVisibility>1</gx:labelVisibility>
をLineのStyleに記述することで、そのname
属性が表示されるようになる。
これをsimpleKmlから利用するには、LineStyleに gxlabelvisibility = 1
を指定すればよい。
ホバー(マウスオーバー)によってスタイルを変える
生KMLの記載方法は上記サイトまたはKML参照。
要は、通常用とホバー時用、2個のStyleを定義して、それらを囲った「StyleMap」を定義し、それぞれのStyleに「normal」「highlight」というキーを与える。 このStyleMapのIDを、各Point, Lineなどに適用するスタイルとして与えてやればよい。
これは、simpleKmlでは以下のようにできる。
# ホバーによって太さと色が変わるLineString STYLE_NORMAL = simplekml.Style() STYLE_NORMAL.linestyle.width = 3 STYLE_NORMAL.linestyle.color = simplekml.Color.white STYLE_HIGHLIGHT = simplekml.Style() STYLE_HIGHLIGHT.linestyle.width = 5 STYLE_HIGHLIGHT.linestyle.color = simplekml.Color.red STYLE_MAP = simplekml.StyleMap(normalstyle=STYLE_NORMAL, highlightstyle=STYLE_HIGHLIGHT) kml = simplekml.Kml() ls = kml.newlinestring(name='test', coords=[[0, 0], [1, 1]]) ls.stylemap = STYLE_MAP kml.save('test.kml')
ファイルサイズを抑える
保存時、save()
でなく savekmz()
を使用すると、kmlをzip圧縮した規格であるkmzファイルが生成され、容量の節約になる。
クリックで開くバルーンを仕込む
Point, LineString, Polygonなどについて、クリックすると開いてより詳細な情報を表示するバルーンを設定できる。
なんか方法が3つほどあるらしい。「ExtendedData」を使うのが簡単。「Scheme」を使うと決まった型を定義できてデータ的に扱いやすい?らしい。
ここではExtendedDataの方法を扱う。KMLを記述する方法とその結果は、上記のリンク先参照。
simplekmlでは以下のように記述すれば出来る。name
で項目名(str限定)、value
で任意の値を埋め込める。
# LineStringをクリックすると3つほどの要素を表示させる kml = simplekml.Kml() ls = kml.newlinestring(name='test', coords=[[0, 0], [1, 1]]) ex_data = simplekml.ExtendedData() ex_data.newdata(name='item1', value=3.14) ex_data.newdata(name='item2', value='ITEM2') ex_data.newdata(name='item3', value=[0, 1, 2]) ls.extendeddata = ex_data kml.save('test.kml')