以下の数列があるとする。
この時、以下のことが出来る。
この2つを続けて使用することで、最初の何項かがわかっているだけの数列の、かなり大きな $N$ に対する第 $N$ 項を求められる。
イメージとしては、ユークリッドの互除法を、数列(形式的べき級数)に拡張して適用したもの。
数列の最初の何項か $A=(a_1,a_2,...,a_M)$
$A$ の特性方程式。
より正確には、長さ $L+1$ の数列 $C$ であって、全ての $L \le i \le M$ に対して以下を満たすもの。
英語版Wikiに載ってる。
# Python寄りの擬似コード # 初期化 C = [1] # 求める数列 B = [1] # 1つ前のCの状態を保存 L = 0 # Cの長さ-1 m = 1 # ポインタ?っぽいもの b = 1 # 前回のdの値 for n in range(len(A)): d = C[0]*A[n] + C[1]*A[n-1] + ... + C[L]*A[n-L] # ①d=0なら、現在のCで、An を求める漸化式は成り立っていることになる if d == 0: m += 1 # それ以外なら調整する # ②Cを拡張する場合 elif 2 * L <= n: T = C C -= d/b * (Bをmだけ右シフトしたもの) L = n + 1 - L B = T b = d m = 1 # ③拡張しない場合 else: C -= d/b * (Bをmだけ右シフトしたもの) m += 1 # これで C が特性方程式の係数になっている
$C$ が拡張される($L$ が増加する)と $A$ のうち所与として扱われる範囲が変わるので、 多分その辺の関係で②と③で $B,b,m$ の更新の有無が変わってるんだと思う(イマイチよくわかってない)。
$A$ を、$d$ 次線形漸化式で表される数列とする。
①「正整数 $N$」と、
②「$A$ の母関数が $G(x)=\dfrac{P(x)}{Q(x)}$ と表される時の、$d$ 次式 $P$ の係数および $d+1$ 次式 $Q$ の係数」
が入力となる。 ただし②は③からも計算できる。
③「$A$ の漸化式の各係数、および最初の $d$ 項」
たとえば a[1] = a[2] = a[3] = 1 a[n] = a[n-1] + 2*a[n-2] + 3*a[n-3] のとき ③ 最初の3項: [1, 1, 1] Aの係数 : [1, 2, 3] ↓ ② Aの特性方程式の係数をQとする(ただし第1項は 1) Q: [1, -1, -2, -3] Qと最初の3項を(たたみ込みの容量で)かけ、最初の3項をPとする P: [1, 0, -2]
すると、$\dfrac{P}{Q}$ は $A$ の母関数となっている
______________1___1___1___6__11__ ← ここにAが現れる [1,-1,-2,-3] ) 1 0 -2 1 -1 -2 -3 1 0 3 0 1 -1 -2 -3 1 5 3 0 1 -1 -2 -3 6 5 3 0 6 -6 -12 -18 11 15 18 0 11 -11 -22 -33 27 40 33 0 ...
Barlekamp-Masseyからの引き継ぎでいうなら、出力がそのまま $Q$ となっていて、 $A$ の最初の何項かはBarlekamp-Masseyの入力でもあるので、かけあわせて $P$ が求められる。
数列 $A$ の第 $N$ 項
説明中の数列の「○○項目」は0-indexとする。
P = [1, 0, -2] Q = [1, -1, -2, -3] while N: Q1 = (Qの奇数項目の正負を逆転した数列) # たとえばループ1回目なら Q1 = [1, 1, -2, 3] PQ = P * Q1 # たたみ込み QQ = Q * Q1 # たたみ込み if N & 1 == 0: P = (PQの偶数項目のみを取りだした数列) else: P = (PQの奇数項目のみを取りだした数列) Q = (QQの偶数項目のみを取り出した数列) N >>= 1 # この時点の P[0] が答え
たたみ込みを愚直にやると $O(d^2 \log{N})$、高速フーリエ変換などを使えるなら $O(d\log{d}\log{N})$ となる。