同じグループになってはいけない人々の集合を、「不仲組」と呼ぶことにする。
不仲組は、$k$ がいくつの時でも $N,M$ だけで決まっている。
$N$ を $M$ で割った商とあまりを $d,m$ として、
N = 17 M = 4 不仲組1 1 5 9 13 17 d=4 m=1 不仲組2 2 6 10 14 5人の不仲組が1組 不仲組3 3 7 11 15 4人の不仲組が3組 不仲組4 4 8 12 16
不仲組毎に分け方を決めていく。
各不仲組のグループの分け方は他の不仲組に影響しないので、独立に決められる。
「ちょうど $k$ 個」は考えづらいので、「$k$ 個以下」のグループに分ける方法の個数を考える。
あらかじめ区別できる箱が $k$ 個並んでいて、そこに番号のついたボールを入れていくとすると、
この積が、全体を $k$ 個以下の箱に分ける方法の個数である。
ここから重複を除き、ちょうど $k$ 個の場合を求める。以下の2つが余計に数えられている。
$k$ 個のうち、$l$ 個($1 \le l \lt k$)しか使っていないものを考える。「ちょうど $l$ 個」の答え $Ans_l$ は既に求まっているとする。
$k$ 個の箱のどれをどの順に $l$ 個に対応づけるかで ${}_kP_l$ 通りなので、$l$ 個しか使っていないものは ${}_kP_l \times Ans_l$ 通りとなる。
$l=1~k-1$ まで走査して除外する。
残りは、$k$ 個をフルに使っているが箱を並べ替えたら同じになるものなので、$k!$ で割ればよい。
計算量は $O(N^2)$ となる。
重複を除く部分は包除原理を適用することでも可能。
先ほどの「区別できる $k$ 個の箱に、空の箱を許して配る方法の個数」を $g(k)$ とする。
また、「区別できる“ちょうど” $k$ 個の箱に配る方法の個数」を $h(k)$ とする。
すると、求めたい答え $f(k)=\frac{h(k)}{k!}$ となる。
「$k$ 個の箱のうち、少なくとも $i$ 個が空である状態」という風に考えて包除原理を適用すると、 「$g(k-i)$ に対して新たに空の箱を $i$ 個追加して $k$ 個にするパターン」を引いたり足したりすればいいので、
これを変形すると、
となり、畳み込みに適した形となる。これで $O(N \log{N})$ で計算できる。
slope trickという手法を用いる。
名前は聞き馴染みが無かったが、図で考えると発想は理解しやすい。
公式editorialにもある通り、日本語資料としては以下の記事が図入りでわかりやすい。
愚直には以下のDPを考えたくなる。(実際にはこの形では実装しない。$x$ の範囲がでかすぎるし)
どの $t$ の時点でも、$f(x)=DP[t][x]$ は「傾きが単調増加で、必ず整数」の形となる。
このように区間毎に直線に分割される関数を「区分線形関数」と称する。
傾き -3 -2 -1 0 1 4 \ / \ / \ / \ / ~~--,__.--~~ ----|---|----|--|----|----- 2 5 8 10 12
「傾きが単調増加で全て整数な区分線形関数 $f(x)$」は、以下の3つの情報を持っておけば復元できる。
[ 10 12 12 12]
[ 2 5 8]
傾きが1増加する点を「屈曲点」と呼ぶことにする。
傾き $1→4$ のように一足飛びで変化する点は、複数の屈曲点が重なっていると見做す。
この3つを管理することで、$f(x)$ を更新していく。
主に以下の2つの方法となる。
移動は、次に水鉄砲が撃たれるまでの時刻を $\Delta t$ として、最小値を中心に正負それぞれ $\Delta t$ だけ広げた形となる。
Δt = 3 \ / \ / \ / \ / ~~--,________.--~~ ----|---|----|--------|----|----- -1 2 5 13 15
[ 10 12 12 12]
→ [ 13 15 15 15]
[ 2 5 8]
→ [ -1 2 5]
キュー内の値全体に $\Delta t, -\Delta t$ が足される。
本当に全要素に加算すると時間かかるので、実際には外部でオフセットとして持っておく。
水鉄砲で受けるダメージは、以下のいずれかのように単純な関数の足し合わせとなる。
\__
をしている__/
をしている$a=X_i$ と、傾きが0の区間(負の屈曲点キューの最大値~正の屈曲点キューの最小値)の位置関係によって場合分けする。 詳細は冒頭の解説記事参照。
主に以下の操作で更新が可能となる。
傾き1や-1の関数を足すという操作では最小値をとる区間は高々1つしかズレないため、 屈曲点キュー間のやりとりも高々1回で済む、というのがポイント。
更新が1回 $O(\log{N})$ でできるため、全体で $O(N\log{N})$ となる。
この問題では初期状態は必ず座標0からスタートする制約がある。
一般的なslope trickでは $f(x)=0$ からスタートするため、 たとえば $t=1$ に座標 $10^9$ 未満に水鉄砲が撃たれても「はじめ $10^9$ にいたことにすればいいじゃん」みたいになりコストが狂ってしまう。
これは、以下の2つの方法で回避できる。
初期状態を、傾き0の区間が $[0,0]$ であり、両端の傾きが∞であると見做せばよい。
「傾き∞」を表現するには屈曲点キューに大量の $0$ を入れておけばよい。
今回の場合、最低限、更新回数である $N$ 個の $0$ を両方のキューに入れておけばよい。
または、答えが狂うのは正のキューから(真値からオフセットが引かれた後での)正の値が取り出されたり、 負のキューから負の値が取り出されたときなので、更新時にそれが発生した場合は取り出さずに0として扱う、としてもよい。
最後にはどこに居てもいいので、クエリを逆順に処理する。
最終的に $f(0)$ の値が答えとなる。
$f(0)$ を求めるのは $O(N)$ でできる。(キューから値を1個ずつ取り出して、傾き×区間長を足していけばいい)
今回、傾きの変化が1ずつだったので、最小値の区間がずれても高々1個のため、2本の優先度付きキューで管理できた。
しかし、「同様に __/
の形を足すが、その傾きが任意の整数」という場合は、一度に最小値の区間が大きくズレることで、
優先度付きキューだと一方から一方へ移す操作が多くかかってしまう。
その場合、平衡二分探索木で管理できるらしい。