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AtCoder Beginner Contest 217 G,H問題メモ

AtCoder Beginner Contest 217

G - Groups

G - Groups

問題

解法

同じグループになってはいけない人々の集合を、「不仲組」と呼ぶことにする。

不仲組は、k がいくつの時でも N,M だけで決まっている。

NM で割った商とあまりを d,m として、

N = 17   M = 4
不仲組1  1  5  9 13 17    d=4  m=1
不仲組2  2  6 10 14       5人の不仲組が1組
不仲組3  3  7 11 15       4人の不仲組が3組
不仲組4  4  8 12 16

不仲組毎に分け方を決めていく。
各不仲組のグループの分け方は他の不仲組に影響しないので、独立に決められる。

「ちょうど k 個」は考えづらいので、「k 個以下」のグループに分ける方法の個数を考える。

あらかじめ区別できる箱が k 個並んでいて、そこに番号のついたボールを入れていくとすると、

この積が、全体を k 個以下の箱に分ける方法の個数である。

ここから重複を除き、ちょうど k 個の場合を求める。以下の2つが余計に数えられている。

k 個のうち、l 個(1 \le l \lt k)しか使っていないものを考える。「ちょうど l 個」の答え Ans_l は既に求まっているとする。

k 個の箱のどれをどの順に l 個に対応づけるかで {}_kP_l 通りなので、l 個しか使っていないものは {}_kP_l \times Ans_l 通りとなる。
l=1~k-1 まで走査して除外する。

残りは、k 個をフルに使っているが箱を並べ替えたら同じになるものなので、k! で割ればよい。

計算量は O(N^2) となる。

Python3

O(N \log{N}) 解法

重複を除く部分は包除原理を適用することでも可能。

先ほどの「区別できる k 個の箱に、空の箱を許して配る方法の個数」を g(k) とする。
また、「区別できる“ちょうど” k 個の箱に配る方法の個数」を h(k) とする。
すると、求めたい答え f(k)=\frac{h(k)}{k!} となる。

k 個の箱のうち、少なくとも i 個が空である状態」という風に考えて包除原理を適用すると、 「g(k-i) に対して新たに空の箱を i 個追加して k 個にするパターン」を引いたり足したりすればいいので、

これを変形すると、

となり、畳み込みに適した形となる。これで O(N \log{N}) で計算できる。

H - Snuketoon

H - Snuketoon

問題

解法

slope trickという手法を用いる。
名前は聞き馴染みが無かったが、図で考えると発想は理解しやすい。

公式editorialにもある通り、日本語資料としては以下の記事が図入りでわかりやすい。

愚直には以下のDPを考えたくなる。(実際にはこの形では実装しない。x の範囲がでかすぎるし)

どの t の時点でも、f(x)=DP[t][x] は「傾きが単調増加で、必ず整数」の形となる。
このように区間毎に直線に分割される関数を「区分線形関数」と称する。

傾き -3   -2  -1  0   1   4
       \                    /
        \                  /
         \               /
           \            /
             ~~--,__.--~~
    ----|---|----|--|----|-----
        2   5    8  10  12  

「傾きが単調増加で全て整数な区分線形関数 f(x)」は、以下の3つの情報を持っておけば復元できる。

傾きが1増加する点を「屈曲点」と呼ぶことにする。
傾き 1→4 のように一足飛びで変化する点は、複数の屈曲点が重なっていると見做す。

この3つを管理することで、f(x) を更新していく。

更新操作

主に以下の2つの方法となる。

移動による更新

移動は、次に水鉄砲が撃たれるまでの時刻を \Delta t として、最小値を中心に正負それぞれ \Delta t だけ広げた形となる。

Δt = 3
       \                          /
        \                        /
         \                     /
           \                  /
             ~~--,________.--~~
    ----|---|----|--------|----|-----
       -1   2    5       13   15

キュー内の値全体に \Delta t, -\Delta t が足される。
本当に全要素に加算すると時間かかるので、実際には外部でオフセットとして持っておく。

水鉄砲による更新

水鉄砲で受けるダメージは、以下のいずれかのように単純な関数の足し合わせとなる。

a=X_i と、傾きが0の区間(負の屈曲点キューの最大値~正の屈曲点キューの最小値)の位置関係によって場合分けする。 詳細は冒頭の解説記事参照。

主に以下の操作で更新が可能となる。

傾き1や-1の関数を足すという操作では最小値をとる区間は高々1つしかズレないため、 屈曲点キュー間のやりとりも高々1回で済む、というのがポイント。

更新が1回 O(\log{N}) でできるため、全体で O(N\log{N}) となる。

初期状態

この問題では初期状態は必ず座標0からスタートする制約がある。

一般的なslope trickでは f(x)=0 からスタートするため、 たとえば t=1 に座標 10^9 未満に水鉄砲が撃たれても「はじめ 10^9 にいたことにすればいいじゃん」みたいになりコストが狂ってしまう。

これは、以下の2つの方法で回避できる。

初期状態の工夫

初期状態を、傾き0の区間が [0,0] であり、両端の傾きが∞であると見做せばよい。

「傾き∞」を表現するには屈曲点キューに大量の 0 を入れておけばよい。
今回の場合、最低限、更新回数である N 個の 0 を両方のキューに入れておけばよい。

または、答えが狂うのは正のキューから(真値からオフセットが引かれた後での)正の値が取り出されたり、 負のキューから負の値が取り出されたときなので、更新時にそれが発生した場合は取り出さずに0として扱う、としてもよい。

逆順

最後にはどこに居てもいいので、クエリを逆順に処理する。

最終的に f(0) の値が答えとなる。
f(0) を求めるのは O(N) でできる。(キューから値を1個ずつ取り出して、傾き×区間長を足していけばいい)

Python3

発展

今回、傾きの変化が1ずつだったので、最小値の区間がずれても高々1個のため、2本の優先度付きキューで管理できた。

しかし、「同様に __/ の形を足すが、その傾きが任意の整数」という場合は、一度に最小値の区間が大きくズレることで、 優先度付きキューだと一方から一方へ移す操作が多くかかってしまう。

その場合、平衡二分探索木で管理できるらしい。